空白
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反撃9

 サエとユイに見送られて東京に向かった。新幹線の中で記者の記事の出ている新聞と週刊誌を読みこむ。8億の出どころに明確に警備会社の名前が挙げられた。さすが記者がよく調べている。警備会社の設立はR事件の最中で、経営塾のリーダー的存在だった会長が当時の総理の肝いりで警察の警備の唯一の下請けとして天下りを受けた。その警備会社から8億が出ているのだ。
 東京駅には2人のボディガードに囲まれたカオルがワゴンで迎えに来た。
「すでに払い込みは済ませている。どうも頭取が不正融資だと言ってるようなの」
「実権は副頭取だからな。とは言っても早く済ませるに越したことがないな」
「警備会社が人数を出して元秘書を探してる」
 いつの間にか車が検問所を抜けてビルの地下に入っている。そこからガードされてエレベータに乗り込み窓のない廊下を抜けてボディガードを置いて部屋に入る。そこにはスーツの男性が5人並んでいる。真ん中の一人が次官のようだ。振り込みを確認したから始まり15分ほど説明がある。取引はあっけないものだ。
 帰りには乗っていきたワゴンが待っていたように出ていく。その後に黒のベンツが止まっている。
「張り付いていた車がワゴンに付いて走り出しました」
 運転手はマネージャーに変わっている。
「そろそろ戦争モードだな」
「もう5寸釘はいらないわ。これから私の部屋で乾杯よ」
「会長のところに寄らないのか?」
「会長はまだ赤坂のホテルよ。珍しく元総理と元頭取が集まっている。私と修司は朝まで寝ないで会議よ」
 カオルの手がズボンの中に入って握っている。バックミラーのマネージャがにやりとしている。



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反撃8

 5億を使えなくて幹事長は総裁選挙に敗れて若手の議員が総理になった。合せて幹事長の席も失う大完敗だ。苦虫を潰したような顔で国会の喚問の席に座っている国会中継が映っている。どうも会長が元総理の派閥を動かしたようだ。反撃を始めるようだ。国会議員は週刊誌を手に持って、8億の振り込み相手と3億の支払い相手の説明を求めている。得意の秘書に任せていたの一点張りだ。
 その後幹事長の派閥の議員が赤坂の国有地払下げについて新総理に質問している。だが野党は反応を示さない。もちろん新総理には会長から5億が渡されている。それにこの審議はR事件当時の総理が了解済みで前総理も了解済みで申し送りしている。ただ私が慎重を期して止めている。
 大阪店の前の喫茶店に記者が押しかけてきている。
「週刊誌の方は第3弾の原稿を回しました。8億の銀行口座を開示しました」
「えらい勢いですね?」
「それで今日の国会中継で局長の新聞記事OKが出たんです。私が書きます。それで記事を見てほしいのですよ」
 原稿をテーブルに置く。
「銀行と支店名はいいとして、入手先はまだ伏せておいてください」
「秘書ですね?彼は警備会社を解雇されてどこに行ったのですか?」
「よく調べましたね。今海外にいます。最後は証人に出ますよ。それと警備会社の会長をもう少し詳しく載せて次にはファイクサーに繋がるようにしてください」 
 カオルからの携帯だ。
「会長から伝言よ。赤坂の国有地取引をすること。銀行内が不穏だそうよ。夜泊まるのよ」
「あの『白薔薇』のママですよね」
 記者は完全にママに恋している。









反撃7

 分厚い速達が届いた。それを見透かすように探偵から携帯が入る。
「まず、ファイクサーの赤坂のホテルだが、ここ5日間で訪ねて来た客はリストにして写真も付けてある。幹事長が1度これは2時間ほどで一番長かった。1対1で会っている」
 リストの写真を見る。
「それからファイクサーの塾の事務長が2回。例の警備会社の会長がやはり2回来てます。1度は怒鳴り声が聞えたと報告がありますよ。それと銀行の会長も来てましたよ」
 どうも会長は今度は幹事長に乗り換えたようだ。だが頭取や会長では資金に手が出せない。副頭取が実権を握っている。前頭取からの遺産は彼が引き継いでいる。
「赤坂の方はその地図にも附箋をつけたが、5社の名前で登記になっている。R事件の裁判が始まる前に代表者が変わっている。代表者を照会したが警備会社の関係者だ。それに無担保だったよ」
 携帯を切ってすぐにカオルに入れた。
「どこにいる?」
「札幌よ。東京から新しい子を5人連れてきて2人を東京に連れて帰る」
「赤坂はファイクサーと大衝突になる。カオルは顔を出さないほうがいい。今度は竿を抜かれるぞ」
「それよりいつ来るの?」
「しばらく竿は封印することだ。ところで秘書はどうなった?」
「警備会社からも解雇されたようよ。すでにタイに移されたわ」
「また殺すんじゃないのか?」
「今度は本人から提案があり証人になると。彼は蝙蝠みたいな奴だからね。陰茎を刺された私としては許しがたいのだけど」






反撃6

 週刊誌が出た。反響は大きい。カオルには会長から2人ボディガードをつけさせた。当面動いているのは『白薔薇』のママと見られているだろう。副頭取に連絡を入れて国有地購入費の別枠の120億の融資を受けた。幹事長の意を受けた野党が答弁を求めてきたが、幹事長の裏金の声がそれを上回っている。
「300万の振り込みが入った?」
「週刊誌を見た。次は?」
 探偵の声だ。
「赤坂のホテルにいるファイクサーを見張ってくれ」
「写真を撮るんだな?」
「それと例の赤坂の土地の地図で黒く塗った部分の謄本を上げて所有者の確認をしてほしいんだ」
 待っていたようにカオルから携帯が入る。
「5億は送金してくれた?」
「ああ今朝送った。今度は誰に渡した?」
「5番目の派閥の長が連合艦隊をまとめたわ。これで総理の支持もついて幹事長の数を上回った。今度いつ東京に来る?」
「しばらくサエでたくさんだ」
「もう使えるのに!」
「しっかり仕事をするんだ。次の原稿を送った。秘書のテープの引き起こしだ。ここで伏字で幹事長と警備会社の会長を出す。それとファイクサーの影も見せる。最後に党首選で負けるようなことはないな?」
「もちろんよ。赤坂の決裁は来るのよ絶対に!」












反撃5

「今度の読みましたがこれは余程慎重にやらないとというのが局長の意見です。でもトップ記事ですよ」
「まずは週刊誌でジャブですね?」
 乗り気の記者の顔を見て言う。彼は私が『白薔薇』のママと組んでいると知っている。だが会長の影は見えていない。今日は姉さんの事務所から帰りに寿司屋に寄っている。
「幹事長の裏金の8億ですが、3億はすでに若手議員に配られたと書かれていますが、残りの5億は?」
「今回与党内の派閥に配られる予定です」
 それまでに阻止することが今回の課題だ。5億を凍結する。
「8億の裏金の口座履歴のコピーはぼかして使ってください」
「出どころは?」
「党首の首になった秘書です」
 さすがに銀行の副頭取とは言えない。
「本人のテープ証言もありますが、これはその時に渡します。まだ伏せておいてください」
 記者はビールを飲みながら器用にメモを取っている。
「彼は党費の使い込みで首になったのですね?」
「実は元々幹事長と組んでいたのです。8億の繋ぎ手でもあります」
「出どころは?」
「これもテープに出てきます。ファイクサーと呼ばれている男ですよ。その金は警備会社から流れていて秘書は今そこの秘書になっています」
「その警備会社は過去に調べたことがあります」
 私は警備会社から出てくる秘書を撮った写真を出す。
「この写真も使ってください」









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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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