空白 ミステリー

真相 11

 姉さんが朝刊を私の前で拡げる。
「記憶喪失の第2課長が検察に現れると言うのはイサムのことね?」
「ああ」
「イサムは殺されそうになって逃げたとある」
「そうだ。サエに助けてもらった」
「昨日警察が来てやぶ医者の所にイサムの診断書を取りに来た。本当に記憶は戻ってないの?」
「記憶が戻らないほうがいいみたいだ」
 その時あの記者の顔が覗いた。
「先程あのサングラスの男がタイで写真に写っていたと大騒ぎです。これはたまたま別の事件で現地のカメラマンが撮ったものです」
 拡大したものを見せる。
「彼の車ではねられたのですね?元々伊藤が手足で使っていたと言うことを聞いていますが?」
「襲ったのは彼です」
「ところがこの写真を見てください。これは他社の記者が撮った写真です。『白薔薇』のママがこの黒塗りの車に乗った時の写真です。助手席にいるのはあの男でしょ?」
「これはいつの写真ですか?」
「伊藤が行方不明になった頃です。検察では伊藤と社長と『白薔薇』のママは組んでいたとみています。それならこれは伊藤に会うのに車の迎えが来たと言うことになります。彼女は今日検察に呼ばれています」
 カオルが向かった先は頭取の別荘である。この混同はカオルが意識して作った罠にはまっている。







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真相 10

 黒サングラスの男は殺人容疑で指名手配されているが見つからない。子供が寝てしまっていて検察からボンの店で飲んでから帰った。でもまだ興奮していて部屋の中でサエの日本酒を珍しく飲む。
 どうも検察はNについての仮定を持っているようだ。だが伊藤と黒サングラスの男の行方が大きな壁になっている。私の記憶喪失については疑ってはいないようだ。
 急に背中に張り付いてきたものがある。驚いて押さえつけたが、全裸のサエがむしゃらに唇を吸ってくる。カオルより細いが反り立っているサエのものを含む。サエは私のものを同時に含んでいる。10分ほどで互いに持ちこたえられなくなって同時に口に吐き出す。サエのものは凄く濃い。それなのにもうまた反り返っている。私がお尻を向ける。サエが子犬のように何度も何度も突き刺してくる。私の背中に涙が汗のように流れてくる。
「心配だよ」
 そう言えはサエはテレビを見て新聞をみてどうなるのだろうと思っているのだ。
「逮捕されることは?」
「ないと思う」
「記憶が戻ったら?」
「戻ろうと戻らないとしても口をつぐんでいかなければならないことは分かっている。それにカオルにサエを手放さないから記憶が戻ってもサエを守ってくれと言っておいた。だが検察も真相に近づいて来ている。後は頭取のツキだろう。サエの息子は困った奴だなあ」
 もうまた反り返っている。今度は仰向けにしてサエの中に入って手こきで同時に責める。今は抱き合うことでお互いを確かめるしかない。





真相 9

 再びドアを開けると調書のファイルが先程より増えている。
「続いて聞きますよ。伊藤と『白薔薇』の東田とITMファイナンスの社長は週刊誌に出ているような関係だったのですか?」
「記憶にありませんが『白薔薇』のママからはそう聞きました」
「伊藤の行方は?」
「知りません」
「あなたは銀行で第2総務課長のポストにいたと聞いています。第2課長は頭取の直属としての仕事をしていたと?」
と言いながら頭取の調書を開いて長い文章を見せる。ITMファイナンスの伊藤との調整役と書かれてあるが、総理の件はどこにも出ていない。
「頭取がそう説明されるならそうです」
「たとえば議員などの交渉も?これは第2課の社員の発言にあります。よく国会議事堂に行かれていたと」
「憶えていません」
「あなたは銀行でパソコンを調べましたがスケジュール表は大半記号ばっかりですね」
 検察官がコピーを見ながら、
「Tは頭取、Iは伊藤と読めますが、よく出てくるKとNが分かりません。引き継いだ第2課長はKともNとも接触してないようですね」
 とくに返答は期待していないようだ。
「これによるとあなたは行方不明になる日、Tの指示でKに会いに出かけています。その時部下の係長、後に第2課長になる彼のメモに頭取から『白薔薇』に行くように指示が出ています。Kは『白薔薇』ですね。彼のメモにはチャンスが来たとあります。彼は何を指示されて『白薔薇』に行ったたのでしょうか?後の調査で彼の鞄からお金が出てきています。これについては東田は彼が伊藤からお金を貰っていたと証言しています。でも問題はNが誰かです」







真相 8

「掛けてください」
 見晴らしの良い部屋の大きなガラス窓から大阪の町が見下ろせる。正面の席に検察官、その横に事務官がパソコンのキボードに指を置いて待っている。検察官は附箋のたくさん付いたファイルを順番に並べている。
「サングラスの男に車を当てられたのはこの時期でいいですか?」
 日付を示す。私が頷く。
「その前の記憶は?」
「ありません」
「その時持ち物は?」
「黒鞄です」
「何が入っていましたか?」
「200万少しの現金です。他は何も入っていません」
「その鞄提出してもらえますか?」
「ええ」
 今度はファイルを置き換える。
「『白薔薇』のママとは会ったことがありますか?」
「ホテルの取引で偶然に」
「その時顔を思い出しましたか?」
と日付も見せる。
「いいえ。その日付だと思います」
 どうもすでにカオルの調書を取っているようだ。
「東田透はあなたに新堂修司だと告げましたか?」
「はい」
「それから合わせて何度会っていますか?」
「今回の写真と盗聴を貰った2度です」
「食事を済ませたら1時からお願いします」








真相 7

 何度か根回しを行ったうえ、新聞社の車で大阪地検に向かうことになった。車の中であの記者が朝刊を見せた。
「雑誌の記者が朝刊の一面記事を書くのは始めただと言うことです」
 彼の名前が入っている。新聞の記事は今朝私が地検に出頭したと言うことで、今までのITMファイナンス事件を整理して私の証言の重さを伝えている。本番は週刊誌の方で載せるようだ。そのゲラ原稿を車の中で見せる。ここには私が逃亡して現在に至る経緯が書かれている。
「ここの監禁についての記述は私も記憶にはありませんが、私をひき逃げしたのは黒サングラスの関東やくざで伊藤の配下と調べがついています。それに『白薔薇』のママは黒サングラスに狙われていると言ってます。伊藤とママが共謀してと言うのは?」
 カオルを悪者にしたくないと言う意思が働いている。
「写真の頃伊藤とママは組んでいた時期があるですね?」
「ええ」
「それと担ぎ込まれた病院の名前は伏せてください。迷惑がかかります。金融屋も同様です」
「分かりました」
 即座に赤を入れていく。
「今日は?」
「東京から来ています。それと指名手配はされていません。任意の出頭です。記憶喪失の件は伝えてあります」
 ゆっくりと車がビルの地下に入っていく。警察官がすでに警備態勢に入っている。
「地検の話の話せる範囲でよろしく」
 私は頷くと1歩踏み出す。






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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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