空白 ミステリー

衝突6

 朝刊のどの1面も野党連合内閣の写真ばかりだ。反主流派のボスは幹事長のポストに収まった。週刊誌もどこも主役は新内閣だ。だがあの記者は律儀にも2面に載せてくれた。どうも彼はカオルに恋しているようだ。
「さっそく抗議が入った」
 その記者だ。
「それはどこから?」
「反主流派の秘書だと言っていた。名前は・・・」
「それは総理の秘書だ。ありがとう」
 今日は会長と新総理歓迎会に出かける予定だ。そこで別室で会談をする。総理も資金主に会わないわけにはいかない。会長にはボディガードが2人ついている。スーツに着替えた私はホテルの広間から会長と別室に入る。別室にも3人のボディガードが立っている。
「忙しいところ悪いね。用件は彼が伝える」
 私は黙ってあの雑誌を開いて写真をテーブルに5枚並べる。これは探偵が送ってきたマネージャーの写真だ。一つは反主流派のボスの部屋に入るところ。それから警備会社に入るところ。これでさすがに総理にもマネージャーが狗だと分かったようだ。
「彼を第1秘書から外してください」
「どこまで関与?」
「この誘拐事件にも関与してます」
「分かった」
 もう会長は立ち上がっている。
「カオルではできない芸当だな」
「カオルに何かあったら会長も首を洗って貰いますよ」




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衝突5

 カオルの行方不明後5日が経った。副頭取に8億の口座確認をしているがお金はどこにも出ていない。夕方野党の党首のマネージャーから携帯が入った。
「明日正式に発表がありますが、党首が総理を受けることになりました。でも内閣には反主流派から3人も入る」
 どうも椅子取りは終わったようだ。取り敢えず実を採ったわけだ。これで党首の資金が切れるのを待って党首交代に出るのだろう。だがカオルの消息は依然と不明だ。
 いつの間にか探偵が入ってきていて地図を急に広げる。
「私設秘書と摺り合わせをしたが、8か所の内警備車両があるこの倉庫が怪しいと。ここは高級警備がない限りでない車両が配置されていて、普通は管理人1人だ。それが5人の食事が運び込まれている。だが臨時警備に入っているのは3人。出入りの顔は確認した。残る1人は彼女だ。だが確定はできない」
「だがリスクは冒せない」
「会長のところで5人を張り付けてもらって、こちらは得意の調査を行う。建物図面を手に入れる。住み込みの管理人を囲み込む」
「こちらは野党党首の秘書をマークしているが、彼が頻繁に会っているのは警備会社の社長だ。彼だけが警察上がりではなくファイクサーの塾生でもあった。ここに3人交代で貼り付けている。動き出すのはこのあたりだと思う」
「これは?」
「一つ池に石を投げ込もうと思っている。『白薔薇』のママのシリーズを書いていた記者に彼女が消えたという記事を送るところだ」
「●●警備、野党●●秘書、反主流派●●代議士ここまで書くのか?」
「ああ勝負だ」







衝突4

 サエの店のオープンに顔を出す予定だったが、仕方なくお祝い電報を打った。私はカオルの東京店の部屋に陣取る。野党の党首の秘書にも張り込みをつけた。カオルのパソコンを一日中覗いている。昔からカオルはこのパソコンに暗号を入れて管理している。
 どこで調べたのか反主流派のボスにファイクサーから8億流れたという事実が書かれている。これは元頭取が副頭取に調べさせたようだ。履歴証明が付いている。送金会社は例の警備会社だ。
「赤坂の料亭のビルの裏口であの時間警備会社の車が停まっていたという情報が入った。あの警備会社だ。会長に警備会社の車庫や寮を調べさせてほしいんだ。こちらでは手が足りない。事務所からリストをそちらに流す」
 探偵が一つの糸口を見つけてきた。
 そのメールを確認して私設秘書に送る。8か所あるが15人を動員したと彼からメールが入った。私は時計を見て野党の党首の事務所に出かける。もう簡単には党首とは会えない。応接室に秘書が顔を出す。
「総理は決まりましたか?」
「いえまだです。派閥同士で会談が持たれていますが」
「どうも、反主流派のボスにお金が流れたようですが、当社の社長からは事実が確認できなかったと報告があり、それ以降行方不明になっています」
 鎌をかけた。
「と言うことは総理は?」
「判断できないことになりました」
 この鎌は反主流派のボスにすぐに流れるだろう。勝負があったのだからカオルは必要なくなる。私はそれだけ報告すると事務所を出た。後はマネージャーに付けてもらう。
 15分後、マネージャーが反主流派のボスの部屋に入ったと連絡が入る。それから20分後にタクシーに乗って警備会社に入った。
「そちらに野党党首のマネージャーが入った。監視してくれ」
 探偵に携帯をつなぐ。





衝突3

「カオルは何をしていたのですか?」
 ホテルの一室で一人煙草を吸っている会長の背中に声をかけた。
「遂に御大が出動してきた。野党再編を手掛けたのは彼だ。R事件の怨念だろうな。ITM事件の発端を作ったのも彼だ。人脈で言えば儂なんかはまだ子供だ。だがこちらも押されてばかりはいられない。総理も頭取ももう隠居の気持ちだ」
「なぜカオルを危ない世界に出すのですか?」
「あれは昔の儂に似ておる」
「何をしていたのですか?」
「先の先だよ。今回反主流派のボスに金が流れた。ここまでは仕方がない。先手を打たれたのやからな。だがさすがに現党首を押さえて総理の座を手にはできん。彼はその次を狙う。その資金だよ。カオルにはその資金の流れを追わせていた。だが彼らはカオルが資金を阻止しようとしていると見て監禁している」
「拷問するんじゃ?」
「分からん」
「それは冷たすぎるではないですか?」
「かもしれん。カオルはすでに流れを確認したと言っていた。すでに野党の党首の秘書は反主流派に取りついている。それで鎌をかけるので会ったのだ。だがこちらの裏をかかれたのだ」
「どういうことですか?」
「秘書が薬を盛った。ビルの防犯カメラに映っていない。裏口から運び出した」
「でもちいママは携帯を受けとっている」
「ちいママに確認したが車の騒音も入ってなかったとな。前もって部屋から入れたのじゃ」






衝突2

 会長から10人ほど赤坂付近の聞き込みを行っているという連絡が入った。こちらも探偵から3人を出してもらっている。私と探偵は現場を離れてファイクサーの泊まっている赤坂のホテルに入った。やはりカオルを拉致するというのは今は彼の周辺しかない。彼から資金が流れ反主流派のボスに流れているというのはカオルが持っていた情報だ。
「こちらにも1人配置した。ファイクサーは3日前にこのホテルに入っている。2日前までの出入りは分からないが、先程マネージャーから送ってもらった男の出入りは今はない」
 探偵が携帯の写真を見せるが見たことがない顔だ。
「野党の党首の秘書は彼女が会長の要望を持って来ていて1時間半ほど打ち合わせをしてその店で別れたと言っている。彼女は店を出て携帯を取って誰かと話していたようだと」
「東京のちいママだ」
 話しているとサングラスの男が椅子に掛ける。私設秘書だ。黙ってホームページのコピーを置く。
「この防犯カメラの男はその警備会社の班長です」
「警備会社?」
「元警察官で固める会社でこの男は知能犯の警部だった男です。ここはファイクサーの顧問会社でもあります。ここは警察の上層部の天下り会社です。直接政府から高額な政界の警備を任されているようです。ここは反主流派のボスもよく使っているという話です」
「取りあえずそこならルートがある。張ってみる」
「あなたはこれから会長に会ってもらいます。このホテルに来ておられます」




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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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