空白 2017年03月

衝突9

 朝一番会長から呼び出されて熱海の別宅に入る。ひっそりとした庭の見える部屋に会長が椅子にもたれている。だがボディガードが3人付いていて警戒厳重だ。裏の仕事専門の番頭が入ってくる。
「君の言うように秘書を昨夜拉致した」
「車両倉庫を出たところを捕まえました。どうも彼の言うには警備会社の調査部に入ったようです。この鞄にこんなものが入っていました」
 小型の盗撮機だ。
「見ないほうがいい」
 会長が横を向いて言う。
「いえ見せてください」
 全裸の縛られたカオルに秘書が跨ってアナルに入れている。そう言う場面が30分ほど続いて急にカオルの陰茎が映し出された。秘書がくどいほど揉みしごいて反り返っている。それに秘書が無言で5寸釘を打ち込んだ。
「白状させるための拷問なのか?」
「いえ本人は趣味でやったと言っています」
「彼と合わせてください」
「それはやめておいた方がいい。別室から見るといい」
 番頭に連れられて地下室に降りる。隣のマジックミラーで覗けるようになっている。まさに頭巾を被った男が全裸の秘書の陰茎と玉に五寸釘を打ち付けているところだ。
「彼はこの道ではプロです。Sの男は案外に責められるのには弱いらしいですよ。今日中にすべて吐きます。画像は口封じで撮っています。ここからは携帯はできませんよ」
 そう言われて庭に出て携帯をかける。
「今夜救出の段取りをしてください。医者の手当てもお願いします」
 うんと頷く探偵の声がした。








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衝突8

 連日秘書は車両倉庫に通っている。昨夜は朝方までいたようだ。昨夜は疲れて寝ていたらちいママが朝には全裸で私の傍で寝ていた。酔った勢いで抱いてしまった。ちいママのものはもう反り返っている。マネージャーの内線で慌てて裸で出て行った。
「昨日付で秘書は解雇になりました。どうも党費の使い込みがあったようです」
 私設秘書からだ。動き出した。
「どこに泣きつくか探ってくれ」
 受話器を置くと寝不足の探偵の顔があった。
「昨晩3軒はしごして聞きだした。カオルは間違いなくあの倉庫にいる。だが地下室で近寄れないという。2人の警備員は地下の入り口になる部屋にいるようだ。秘書が頻繁に通ってきている」
「無事か?」
「明日地下の地図を持ってこさせる。金を握ったから裏切れない。突入するか?」
「いや、カオルは赤坂の件でもファイクサーに絡んでいる。彼女は会長に知らされずこの仕事を受けている」
「倍の人数を手配する」
 探偵が部屋を出ると会長に直接携帯を入れる。
「赤坂がらみですね?今度は秘書をそちらで拉致してください」
「人質交換するのか?」
「いえ秘書はもう弾かれますよ。その前に情報を吐き出すのですよ」






衝突7

 幹事長になった反主流派のボスは8億から3億を引き出した。この引き出しを実行したのはあの秘書と警備会社の会長だ。銀行の防犯カメラの映像も撮った。この資金は一度幹事長の個人通帳に入った。それから今回の新人議員の活動資金に回されている。計画は着実に進んでいる。
「今日は秘書は幹事長と相談の後、始めてあの警備会社の車両倉庫に入った。やはりここの食事は1人前多い。夜に泊まりの警備員に居酒屋で『白薔薇』のママの写真を見せた。顔色が変わった」
「そちらもそこに出かけているのか?」
「この男不満が多いようだ。金を握らせる」
「慎重にやってくれ」
 今日は私は赤坂の現場に来ている。カオルは山のように仕事を残して行った。3時間現場と打ち合わせして地上げ費用を200億に圧縮して実行にかかる。ここで気になったことがあった。どうも赤坂の地上げはR事件の時にはファイクサーと会長が組んでしていたようだ。仕上げた根元の土地は半分が会長の手にはないようだ。今度の購入地は碁で言うと囲む石になっている。カオルには知らせず会長が絵を描いている。となればそうはカオルを釈放しないだろう。
 帰り赤坂の狭い路地を歩いていると後ろから誰かが付いてきている気配がする。嫌な予感がして人の家の塀の中の入る。正面から2人、後ろからはあの刑事上がりの男だ。
「どうした?」
「誰ともであってません」
「逃げられたか」


衝突6

 朝刊のどの1面も野党連合内閣の写真ばかりだ。反主流派のボスは幹事長のポストに収まった。週刊誌もどこも主役は新内閣だ。だがあの記者は律儀にも2面に載せてくれた。どうも彼はカオルに恋しているようだ。
「さっそく抗議が入った」
 その記者だ。
「それはどこから?」
「反主流派の秘書だと言っていた。名前は・・・」
「それは総理の秘書だ。ありがとう」
 今日は会長と新総理歓迎会に出かける予定だ。そこで別室で会談をする。総理も資金主に会わないわけにはいかない。会長にはボディガードが2人ついている。スーツに着替えた私はホテルの広間から会長と別室に入る。別室にも3人のボディガードが立っている。
「忙しいところ悪いね。用件は彼が伝える」
 私は黙ってあの雑誌を開いて写真をテーブルに5枚並べる。これは探偵が送ってきたマネージャーの写真だ。一つは反主流派のボスの部屋に入るところ。それから警備会社に入るところ。これでさすがに総理にもマネージャーが狗だと分かったようだ。
「彼を第1秘書から外してください」
「どこまで関与?」
「この誘拐事件にも関与してます」
「分かった」
 もう会長は立ち上がっている。
「カオルではできない芸当だな」
「カオルに何かあったら会長も首を洗って貰いますよ」




衝突5

 カオルの行方不明後5日が経った。副頭取に8億の口座確認をしているがお金はどこにも出ていない。夕方野党の党首のマネージャーから携帯が入った。
「明日正式に発表がありますが、党首が総理を受けることになりました。でも内閣には反主流派から3人も入る」
 どうも椅子取りは終わったようだ。取り敢えず実を採ったわけだ。これで党首の資金が切れるのを待って党首交代に出るのだろう。だがカオルの消息は依然と不明だ。
 いつの間にか探偵が入ってきていて地図を急に広げる。
「私設秘書と摺り合わせをしたが、8か所の内警備車両があるこの倉庫が怪しいと。ここは高級警備がない限りでない車両が配置されていて、普通は管理人1人だ。それが5人の食事が運び込まれている。だが臨時警備に入っているのは3人。出入りの顔は確認した。残る1人は彼女だ。だが確定はできない」
「だがリスクは冒せない」
「会長のところで5人を張り付けてもらって、こちらは得意の調査を行う。建物図面を手に入れる。住み込みの管理人を囲み込む」
「こちらは野党党首の秘書をマークしているが、彼が頻繁に会っているのは警備会社の社長だ。彼だけが警察上がりではなくファイクサーの塾生でもあった。ここに3人交代で貼り付けている。動き出すのはこのあたりだと思う」
「これは?」
「一つ池に石を投げ込もうと思っている。『白薔薇』のママのシリーズを書いていた記者に彼女が消えたという記事を送るところだ」
「●●警備、野党●●秘書、反主流派●●代議士ここまで書くのか?」
「ああ勝負だ」







衝突4

 サエの店のオープンに顔を出す予定だったが、仕方なくお祝い電報を打った。私はカオルの東京店の部屋に陣取る。野党の党首の秘書にも張り込みをつけた。カオルのパソコンを一日中覗いている。昔からカオルはこのパソコンに暗号を入れて管理している。
 どこで調べたのか反主流派のボスにファイクサーから8億流れたという事実が書かれている。これは元頭取が副頭取に調べさせたようだ。履歴証明が付いている。送金会社は例の警備会社だ。
「赤坂の料亭のビルの裏口であの時間警備会社の車が停まっていたという情報が入った。あの警備会社だ。会長に警備会社の車庫や寮を調べさせてほしいんだ。こちらでは手が足りない。事務所からリストをそちらに流す」
 探偵が一つの糸口を見つけてきた。
 そのメールを確認して私設秘書に送る。8か所あるが15人を動員したと彼からメールが入った。私は時計を見て野党の党首の事務所に出かける。もう簡単には党首とは会えない。応接室に秘書が顔を出す。
「総理は決まりましたか?」
「いえまだです。派閥同士で会談が持たれていますが」
「どうも、反主流派のボスにお金が流れたようですが、当社の社長からは事実が確認できなかったと報告があり、それ以降行方不明になっています」
 鎌をかけた。
「と言うことは総理は?」
「判断できないことになりました」
 この鎌は反主流派のボスにすぐに流れるだろう。勝負があったのだからカオルは必要なくなる。私はそれだけ報告すると事務所を出た。後はマネージャーに付けてもらう。
 15分後、マネージャーが反主流派のボスの部屋に入ったと連絡が入る。それから20分後にタクシーに乗って警備会社に入った。
「そちらに野党党首のマネージャーが入った。監視してくれ」
 探偵に携帯をつなぐ。





衝突3

「カオルは何をしていたのですか?」
 ホテルの一室で一人煙草を吸っている会長の背中に声をかけた。
「遂に御大が出動してきた。野党再編を手掛けたのは彼だ。R事件の怨念だろうな。ITM事件の発端を作ったのも彼だ。人脈で言えば儂なんかはまだ子供だ。だがこちらも押されてばかりはいられない。総理も頭取ももう隠居の気持ちだ」
「なぜカオルを危ない世界に出すのですか?」
「あれは昔の儂に似ておる」
「何をしていたのですか?」
「先の先だよ。今回反主流派のボスに金が流れた。ここまでは仕方がない。先手を打たれたのやからな。だがさすがに現党首を押さえて総理の座を手にはできん。彼はその次を狙う。その資金だよ。カオルにはその資金の流れを追わせていた。だが彼らはカオルが資金を阻止しようとしていると見て監禁している」
「拷問するんじゃ?」
「分からん」
「それは冷たすぎるではないですか?」
「かもしれん。カオルはすでに流れを確認したと言っていた。すでに野党の党首の秘書は反主流派に取りついている。それで鎌をかけるので会ったのだ。だがこちらの裏をかかれたのだ」
「どういうことですか?」
「秘書が薬を盛った。ビルの防犯カメラに映っていない。裏口から運び出した」
「でもちいママは携帯を受けとっている」
「ちいママに確認したが車の騒音も入ってなかったとな。前もって部屋から入れたのじゃ」






衝突2

 会長から10人ほど赤坂付近の聞き込みを行っているという連絡が入った。こちらも探偵から3人を出してもらっている。私と探偵は現場を離れてファイクサーの泊まっている赤坂のホテルに入った。やはりカオルを拉致するというのは今は彼の周辺しかない。彼から資金が流れ反主流派のボスに流れているというのはカオルが持っていた情報だ。
「こちらにも1人配置した。ファイクサーは3日前にこのホテルに入っている。2日前までの出入りは分からないが、先程マネージャーから送ってもらった男の出入りは今はない」
 探偵が携帯の写真を見せるが見たことがない顔だ。
「野党の党首の秘書は彼女が会長の要望を持って来ていて1時間半ほど打ち合わせをしてその店で別れたと言っている。彼女は店を出て携帯を取って誰かと話していたようだと」
「東京のちいママだ」
 話しているとサングラスの男が椅子に掛ける。私設秘書だ。黙ってホームページのコピーを置く。
「この防犯カメラの男はその警備会社の班長です」
「警備会社?」
「元警察官で固める会社でこの男は知能犯の警部だった男です。ここはファイクサーの顧問会社でもあります。ここは警察の上層部の天下り会社です。直接政府から高額な政界の警備を任されているようです。ここは反主流派のボスもよく使っているという話です」
「取りあえずそこならルートがある。張ってみる」
「あなたはこれから会長に会ってもらいます。このホテルに来ておられます」




衝突1

 野党内閣の陣容がまだ固まらないようだ。これはどうも反主流派ボスが派閥固めをしているという噂が流れている。それについてカオルからどうも反主流派ボスにファイクサーから新しい資金が流れていると言っている。ここで総理に反主流派ボスかその派閥から出す可能性があるという。今は資金が勝負を決める。
 そんな最中マネージャーから携帯が入った。
「至急に東京に来てください。昨夜からママが行方不明なのです」
「直近まで何をしていたのですか?」
「会長の用事で野党の党首の秘書に会いに行っていたはずです」
 その足で東京に飛び立った。空港で探偵を呼び出して足取り調査をしてもらう。
 空港に着くとマネージャーと探偵が迎えに来てくれる。
「秘書は夜の9時まで料亭で一緒だったと言っている。その後彼女の携帯でちいママに10時には店に入ると連絡があった。そこから消息が消えている」
「ちいママの話では最近店に新顔がよく来ていると言っているわ」
「今防犯カメラを見てもらっている」
「総理争いか?」
「でも党首が総理になるのでは?」
「反主流派ボスが最大派閥だ。金を封じていたから後ろに下がっていたが」
「長野のファイクサーが東京に出てきているということだ」
「厄介なことにならなければいいが」




起承転結13

 カオルが持ってきた地上げの資料全体をここ5日間丹念に見る。昔の買値が半分まで落ちている。だが交渉が行き当たりばったりで行われている。さっそく赤坂の現場責任者に地上げ順位の確認のメールを入れた。このままでは融資枠の200憶では収まらない。カオルはあれから大阪から東京に飛んだ。どうも会長とパイプは相当太い。
 3時過ぎにカオルの事務所を出て阿倍野の新店舗のリホーム状況を見に行く。
「サエ着てたのか?」
 サエがジーパンに作業着を着て職人に細かい指示をしている。
「5時から研修生も入ってみんなで展示をするの」
「手伝うよ」
「カオルさんからもうお祝いの花束が届いているの。まだ大阪に?」
「いや、もう東京に飛んだ。エッチをする暇もない」
「恥ずかしい」
 5時になると3人がユイを連れて集まってきた。どういうわけか姉さんが商品をトラックに積んで運んでくる。今回は壁に大型のテレビをつけて女装の録画を流すようにする。だが今はテレビを流している。衆院の結果を見るためだ。早くも野党連合の当確が続出している。会長の大逆転が起こるのか。
「入居祝いは私が持つからね」
 姉さんが寿司とビールを運び込んできてサエと腕を組んでいる。
 テレビの画面に野党の頼りない党首の顔が映し出されている。なんとその真後ろにカオルがいる。サエも見つけたようでビールの入ったグラスを軽く上げている。
「カオルさんはイサムの力を求めている。私は横にいるだけで幸せよ」












起承転結12

 カオルの事務所でパソコンでサエの店舗を阿倍野の表通りで探している。そのうちに今回金融を引き上げって姉さんが買ったビルを見つけた。ここは大規模な地上げ物件が真後ろまで迫っている。
「このビルに空き部屋はない?」
「そうね。今月末なら2階に空きが出るわ。1階が半地下になっているので店舗にはいいわ。誰か店を出すの?」
「サエが今のところを仕事場にして店舗を出すと言っている」
「ここなら路地で仕事場と繋がる。条件のメール送るわ」
 姉さんもしっかりと不動産屋になっている。
「しっかり亭主やってるな?」
 いつの間にか札幌から大阪に戻ってきたカオルだ。即座に鞄を広げって地図を出す。
「融資が出たわ。それでこの黄色い部分を固まった3か所買うの。現場はチームが出来ている。修司に取りまとめしてほしい」
「地上げもやるのか?」
「それで土地と建物代を貰う約束を会長としたの」
「大した女だ」
「サエは修司の女房だけど私はパートナーよ。失敗したら穴に大きなのぶち込んでやるから」
 事務員がくすくす笑っている。
「衆院の選挙だがどうなんだ?」
「6分4分で野党連合のようよ」
「あの頼りないのが総理か」







起承転結11

 カオルに泊まるのをせがまれたが、どうしてかサエに会いたくなって新幹線に乗った。新大阪からタクシーに乗ってサエの店に乗りつける。「少し遅くなるが夕食を食べよう」と連絡を入れた。
 8時過ぎに店の前につく。まだ1階も2階も赤々と光が灯っている。ちょうど2階のカーテンが引かれドアを開けるとサエがユイをベビーカーに乗せて立っている。
「遅くなったな」
「いつももっと遅いから。ユイはもう済ませて眠っている。時々寄る店でもいい?」
 サエが路地に入って小さな店に寄る。
「この壁の商品は?」
「ここで展示してもらっているの」
 奥のテーブルに店の従業員がいつの間にか2人座っている。
「隣に来てもらったら?支払いは持つよ」
「いいの?一度主人に会わせてと言われてたの」
 サエが嬉しそうだ。
「社長いつもイサムさんの噂ばっかりなんですよ」
 古い馴染の子が話す。
「こちらはカオルさんの店にいた子よ」
「向こうでは指名のかからないナンバーワンでした。ここに来て幸せです」
「私もイサムさんのような彼氏が欲しい」
 二人ともニューハーフだ。でも普通の女の子のように見える。
「もう一人研修生で入ってもらう予定なの」
「それじゃ今のところじゃ狭いだろ?」
「店はそのまま仕事場にして売り場を表通りにと考えてる」
「それはこちらで探そう」










起承転結10

 久しぶりに副頭取室に入った。名刺は会長の秘書だ。
 椅子から立ち上がって握手をする。それから備え付けのソファーに掛ける。ここには身近なものしか入れない。彼は昔から熱烈な頭取の腹心だった。ある時からまだ課長に過ぎない私にすらライバル心を抱いていた。彼は表で私が裏だった。
「例の赤坂の土地を動かそうとしています」
 私は鞄から赤坂の住宅地図を広げる。懐かしい色とりどりに塗られた古びた地図だ。この地図は頭取に渡されて再調査をしたのだ。どうも頭取はITM事件が起こらなかったらこれに手を付ける気でいた。
「この赤い部分を担保にこの会社に融資してください」
「これは『白薔薇』のママの会社だな?だが無借金とは凄い」
「ママは金を産むのは旨いですから」
「元頭取もいるわけだな?」
「この部分は全体から言うとへた地ですので将来は売却します。時価総額で224億なので単名で200億頼みます」
「初めから大きいな?」
「これからもっと大きな融資をお願いすることになりますよ。この資金はこの黄色の部分に投資します。ここが地上げの未消化部分です。頭取の道が見えてきますよ」
「頭取の道か」
 彼が相談役と新頭取の生え抜きの家系に打ち勝つためには会長のバックが絶対条件だ。彼自身元頭取のように資金源を作る能力はない。頭取を獲得するにはITM事件の様な山がいる。
「一度『白薔薇』のママをセットしてくれないか?伝説のママだからねえ」
「新宿の店に来るのですか?」
「お忍びでな」
「深入りしないように」







起承転結9

「ボンの言っていた男現れた?」
「いや人違いだったようだ」
 サエには一生この話はしないつもりだ。あの夜3時間もカオルの言いなりになった。どうも手術後はフイリッピンに掘りだすそうだ。ひょっとしてカオルは会長とそう言う関係だったのかもしれない。伊藤の監禁にもカオルが係っていたのではないか。翌日カオルと東京に戻り会長のところに行く。
 会長室に入る前にカオルは姿を消した。
「送金ご苦労さんやったな。彼で出来ん仕事を頼もうと思ってな」
 隣に座っているのは私設秘書だ。どうも記憶が戻っていないようだ。淡々と地図を広げている。赤坂の地図だ。この地図は何度も見た記憶がある。R事件の時の不良債権の大型の一つだ。これはいつの間にか正体不明の会社の持ち物なって表舞台から消えた。
「これは伊藤がITM事件の中で手をつけようとしていました」
「よく覚えているおるな。いよいよ金脈の再発掘や。手伝おうてほしい」
 隠していたのは会長か。
「カオルは?」
「すでに赤坂のヘタ地を貰うつもりでおるわ」
 会長が名刺をテーブルに置く。資料のファイルを私設秘書が並べるように置く。
「副頭取になったようですね?」
 彼は頭取の腹心の部下だった男だ。


起承転結8

 3日後段取りをしてサエの親父を呼び出した。あれから親父の話は一切していない。今後サエに伝えることもないと思っている。親父を目隠しして小頭にカオルの指定の部屋に運び込んでもらった。親父と私は殺風景なベットだけある部屋に通される。
 ノックがしてショートカットのサエが入ってくる。もし仕組んだことを知らなければサエだと思ってしまう。
「サエなんだな?」
 サエと確信した声だ。サエはビールを運んできてコップにそれぞれ注いでくれる。それから返事することもなく乾杯をして飲み干す。カオルの化粧術は凄い。だが声を出すのは押さえている。
「一度親子の縁で抱かれるがこれっきりだと言っている」
 これはセリフを決めていた。だがあまりにも似ているので驚いたままだ。
「ああ、俺も長くない。もう一度抱けたらと思い続けてきた」
 サエがいやカオルがスカートを下す。立派なものがそそり立っている。親父が思わず立ち上がるとそのままベットに倒れ込んだ。瞬間に移動ベットが運ばれてきて白衣の看護婦が連れ去っていく。
「立たないとダメだなと気合が入ったわ。それで修司のものを思い浮かべた」
「サエそっくりだ」
「化粧って怖いのよ」
「ここは?」
「ニューハーフになるところ。親父さんには悪いけど竿も玉も抜くわ。膣は作らず穴ぽこよ」
「怖いな」
「そんな冷たいこと言うなら許さない」
「いや今日は何でも聞く」
 実はあまりにも似ているサエに押さえられなくなっている。






起承転結7

 サエに夜親父の話をした。彼女は小刻みに震えだして蒼白になった。
「会ったら私殺すかもしれない」
 その言葉を聞いて頷いて目を閉じた。
 今日中に5億を振り込む約束になっている。午前中に銀行を回って事務所に戻ると、カオルのメモがあり部屋で待っていると言う。事務員の女が含み笑いをしている。
「振り込みをした」
「ご苦労さん。衆議院選挙の金らしい」
「情勢は?」
「会長曰く今回は野党の勝ちらしいわ。それと修司の銀行の頭取が変わったわ」
 そう言いながら背中に手を回してくる。
「やる前に頼まれてくれないか?」
とサエの親父に会った話とサエの怖がりぶりを話した。
「私がサエになって会うの?」
 あの時ふとカオルのことが浮かんだのだ。
「カオルとサエは似ている。ただ一回り大きさが違うが逃げてから7年もたっている」
「修司は姉妹を抱いてるわけね?殺す?」
 カオルの生きてる世界では普通の会話だ。
「殺さない。不能にするまで」
「分かった」
 もうカオルの口の中に私のものが。




起承転結6

 これは他の人間の力を借りれない。サエが男だということを知られてしまう恐れがある。陽が暮れる前に日払いのホテルについた。玄関に眠っているような老人に声をかける。
「人を探してると?」
 同時にメモを目の前に出した。薄目が開いて隣の暖簾を指差す。
「黒の帽子を被ったのがいるそいつや」 
 暖簾を潜ると席はまだらで一応にみんなこちらを見る。この街に住んでいるがこの辺りにはめったに来ない。一番後ろで髪の長い女と話している男が黒の帽子を被っている。私はメモをちらつかせる。
「お前はあっちへ行け!」
 女が振り向いたが明らかにお釜だ。男は痩せこけてはいたが掘りが深く昔はいい男だったと知れる。
「雑誌の女いたか?」
「あの女と違う」
と言ってポケットから初めて会った頃のショートカットの幼いサエの写真を見せる。明らかに目が反応している。
「どこにいる?」
「ミナミで働いている。やくざの旦那がいるが?」
「金は出す。会わせてくれ。俺は彼奴の親父だ」
「母親は?」
「別れたままだ」
「それで今更どうして?」
「俺の命は長くない。シャブ漬けだ」 
「会って謝るのか?」
「もう一度入れたいんや彼奴の中に」
 むかついてくるのを堪えながら、
「一度会いたいか聞いてみる」










起承転結5

 二つの記憶が融和するのに時間がかかる。サエ以外はカオルにもしばらく内緒にしている。事故後の記憶が重ならず視点が少しずれて見えるようになっている。あの時はサエしか見えなかった。その気持ちが蘇ってきている。その分朝の愛撫が長くなっている。
「最近サエがキラキラに見える」
 ボンがモーニングの席でぼそっと言う。サエはフミコと子供の話をしている。
「妙な男がサエの写真を見せて店で居場所を尋ねてきたんだ」
「妙な男?」
「昔も訪ねて来た記憶がある。あの時は白塗りの人形のような写真だったが、今回は彼女の写った雑誌だ」
「サエは?」
「追っかけだと思っている。人気だからなあ」
「どんな男だった?」
「昔に比べてげっそりと痩せていた。西成のアパートにいるとメモを残して行った。こういうのはすぐに捨てるんだけど」
 それはどうもサエの言っていた親父かもしれない。
 今日は半月ぶりに姉さんの事務所に行く日だ。
「そのメモのところに訪ねてみる」
「気をつけろや」
「しばらくサエに内緒だぞ」
 メモをポケットに押し込むと、ユイを背負って店までサエを送る。店の前にはもうマニアらしき人物が並んでいる。
「なんだか紐みたいに見えるな」





 

起承転結4

 最終の新幹線で大阪に戻った。サエとユイの顔が浮かんだのだ。疲れたところでビールを飲みながら大阪に戻ったので部屋に戻るとそのまま倒れ込んでしまった。そこから記憶がない。朝起きるとスーツ姿の自分に妙な気分だ。だが体が動かない。
 サエが覗き込んでいる。何か言おうとするが声が出ない。車が傍を通っていく。人だかりができていて太陽がまぶしい。ショートカットの幼い顔のサエが私の肩を抱きかかえている。両足を持っているのはボンだ。リヤカーに乗せられると物凄いスピードで走り出す。
「どうしたの?」
 ロングヘヤーのサエの唇を思い切り吸う。
「あの日の光景が戻った」
「事故後の記憶も戻った?」
「ああ」
「私を思い出した?」
「思い出した。しばらくサエのアナルを膣と思って入れていた」
「ごめんね」
 サエのパジャマを引き下ろすと両足を抱えてアナルに指し込む。この感触も戻ってきた。
「凄い声だな」
「もう我慢できない!修司」
「サエのイサムだ」





起承転結3

 赤坂の料亭を会長の名前で予約している。元総理も元頭取も今は名前を出さない。表舞台から消えた存在になっている。私はポケットから会長の秘書の名刺を出す。
「なんだ君か」
 白いものが急に増えた銀行の会長が驚いたように名刺を見る。
「条件はご存知ですね?」
「ああ、今度は総理の意向ではなく会長の意向だね?今回はしてやられたな。副頭取を抑えられるとはなあ。彼とはライバルでもあったが残念だ。野党再編に乗ったが勝ち馬から外されたよ。まさか新党首の後ろに会長が付いているとはね。今回は後ろに元頭取の影も見える。痛しかゆしだ。君は記憶を戻して昔の関係に戻ったみたいだな?」
「なかなか清算できないものがあります」
 今はカオルの関係と言ってもいい。
「営業部長を常務にというのは分かった。だが条件がある。今の頭取が会長になるのは流れだが、私を取締役相談役に残してほしい。君もご存知のように彼では頭取職に飲まれてしまう」
 確かに頭はいいのだがボンボンだ。
「ところで君は政権が変わると思うか?」
 会長は次の頭取のかじ取りを早くも考えている。
「そのような流れですね」
「だがそれは長くないと思うが?」
「かもしれません」
「しばらく乗ってみよう」
 これは独り言だ。





起承転結2

 私設秘書の代わりに私が新党結成の記事を送る。記者は局長の了解を取って朝刊の1面に載せる。長野でカオルと合流して彼女に予約した旅館の貸し風呂で3時間もの長風呂をした。湯に浸かってのプレイはさすがの二人とも夜は爆睡だ。翌朝新幹線で東京に戻って、カオルは会長に私は元総理に会いに議員会館に行く。
 総理の時とは違ってボディガードはついておらず、狭い部屋に通される。そこに元総理と元頭取の顔が並んでいる。
「ご苦労さんやな」
「二人揃って今度は何を?」
「いや、無職になったら会長が思いきりこき使って来るわ」
「新党首はあまりにも頼りないですよ」
「それでいいんや。反主流派のボスじゃ政権は戻ってこない。彼を党首にしない作戦だ。徳俵に乗った気分だね」
 元総理は口が軽くなっている。
「夜はカオルと泊まったんだろう?」
「・・・」
「妬いてない!しっかり可愛がってやってくれ。遠足の時みたいにうきうきしてたの」
と好々爺に顔になっている。
「ところで今夜でも銀行の会長と会ってくれ?副頭取を解任して息子の常務を頭取にする。その代り副頭取に営業部長を置く」
 平取の営業部長は昔からの元頭取の子飼だ。さすがにワンチャンスをものにする。
「私設秘書は?」
「記憶を失った状態だ。会長の秘書のような仕事をしているわ」




起承転結1

 反主流派のボスが副頭取に続いて検察に呼ばれた。記者の出した記事の写真が効果的だったようだ。それで野党の再編が大きく流れを変え始めた。急に反主流派のボスが与党から脱党した彼を押し出した。再編の派閥では順位は3番目で名前もに上っていなかったのだ。SM館から送った5億がものを言ったようだ。
 カオルは私と同じホテルに泊まりながら先に信州での前総理のゴルフ会に出ている。私は昼過ぎから2代目に会いに別荘に出かけた。私の肩書は会長の秘書である。
「おめでとうございます」
「いや、まだ決めかねているんだよ」
 どう見ても人のいい坊ちゃんだ。隣に年配の秘書が付いている。これはすでに会長の下についている。
「反主流派の彼が党首になるのが一番いい」
「でも彼は検察に呼ばれていて今は顔を出せる場面ではないはずです」
「なら2番手の?」
「それは彼が認めない。それで新党名は?」
「それはすでに話が出来ています。これが現在の合意事項です」
 秘書が用意していたコピーを見せる。
「思ったより議員が集まったようですね?」
「だが右から左まで幅広すぎる。長持ちできないさ」
 その通り会長はフィクサーの長年の準備を逆手に取る気だ。







 

黒幕 12

 どうもカオルと組むと、政界とは足が切れないようだ。とは言えカオルと縁を切ることなどできない。彼とは生来に縁なのだろう。夜に東京に呼び出された。迎えに来たのはカオルで会長の本宅に向かう。
「二人は似合いだな。それでも一緒になれないか」
 カオルが私の横に座って私の手を握っている。
「妻にはなれませんが死ぬまで相棒です。夢の店舗展開も始まりました」
「儂も最後の勝負ができるのでわくわくしておるわ。カオルを拾ったと伊藤が言っておったが、あれは儂が作った作り事や。週刊誌が書いてくれたので伝説みたいになっとるがの」
 私も伊藤の話を信じていた。カオルが否定しないせいもあった。
「元々儂の田舎の知人の世話で12歳の頃事務所の駒使いをしていた。それが時々隠れて女の子の真似をしていて、ついに竿だけになりよった。儂も悪かった。政治家に抱かせていたからな。ある意味ではカオルは儂の耳だった」
 今も耳なのだろう。あの頃はそう言う世界が見えなかったのだ。
「今度の勝負で儂は引退する。後はカオルの任せると言ったが、君と二人で継ぎたいというのや」
「私はサエに妻の座は譲った。でもこれは譲らない」
 私はゆっくりと手を握り返した。
「それでや。明日にでもこの男に会ってもらいたい」
 これは離党した派閥の長だ。2代目でまだ若い。

黒幕 11

 新内閣は野党の反対にあってどんな法案も通せない。野党同士の会合がやたらと開かれている。副頭取は地検に呼ばれて野党再編の資金が凍結された。野党の蟻のような議員の群れが蜜を求めてさまよっている。
「今いいですか?」
 記者からの携帯だ。私が大阪店に入ってから経理がここに移って来ている。ここのちいママは何度かカオルに言われて3Pをしている。事務所のドアに鍵をしてやろうという女だ。今も机に潜って私のものを銜えている。
「この記事はさすが局長から止められましたよ」
「そうだろうな」
「他人事のように言わないでくださいよ」
「反主流派のボスの資金源は副頭取の裏金という奴だな?」
「検察で調査中ですからね。かなりのニュースソースでないと触れないのです」
「オフレコで言うがこれが漏れるとひと一人の命が危ない。これを書いているのはあのブラックジャーナルの編集長だ。彼は元々元総理の私設秘書だった。それが総理とぶつかって解任されて反主流派のボスに付いた」
「ならおかしいではないのですか?」
「うう」
と思わず声が出た。ちいママの口に大放出した。
「どうかしたのですか?」
「いや、彼は取り分が貰えなかったので脅してる。今ファックスを流すからその写真を使ってくれてもいい」
 これは会長から前もって貰っていた私設秘書と反主流派のボスのツーショットだ。




黒幕 10

 サエの店が週刊誌に載った。それで店に人が押しかけてくることになっている。
「美人過ぎると言う見出したよ」
 これは3日前の雑誌だ。ボンがモーニングの後テーブルに置いていった。サエは嫌がっている。私は朝刊の文字を追っている。ユイが「お母ちゃん、お母ちゃん」と写真を指して呼んでいる。サエは恥ずかしいものを隠すようにページを閉じている。
「これだ!」
とつい言葉が出た。
 金融庁が元頭取の銀行に査察に入った。裏口座の投書があったのだと簡単に書いてある。これは副頭取が絡んでいて反主流派の資金源になっている。
「カオル今いいか?」
 今日は東京に戻っているはずだ。
「今風呂から上がって独りビールを楽しんでいるところ。修司が遊んでくれないからオーナニー復活よ」
「副頭取の裏口座押さえたのは頭取か?」
「そんな話してたわ」
「私設秘書は?」
「副頭取の接触を確認したから、今度は会長が場所を変えたわ。これで反主流派の資金が止まるわ。そこにあの5億が生きて来るらしい」
「あの投書記事の主を私設秘書にするつもりか?」
「近々に原稿が届くわ。これは私の勘だけど、長野のフィクサーと会長の因縁の対決のようだわ。これは頭取の寝言だけど、二人はR事件を起こした総理の秘書と金庫番らしいの。会長は追い出された金庫番だそうよ」










黒幕 9

 最近は普通の夫婦のようにサエを定期的に短く抱いている。私はサエのアナルがすっかり膣に思えてきている。とくに母親のような優しい目になっている。それに比べカオルはますます野獣のようになってきている。昨日は昼前に大阪に来て3時間たっぷり彼女の部屋でセックスをした。
「いくら集まってきた?」
 カオルは全裸のままビールの小瓶を私に渡して聞く。
「5億ぴったりだ」
「それをこの口座に送ってほしいの」
「これは私設秘書のジャーナルの口座じゃないか?」
「どうも私設秘書は拷問で吐いたようなの。会長が組から情報を買った。彼のところには副頭取から接触があった」
「副頭取?」
「どうも彼が反主流のボスと副頭取を繋いでいたような」
「金の流れを止める気だな?」
 それでどうしようとしているのか。
「こちらの口座は解約をしておく」
 カオルのものはまた反り返ってきている。
「今日はこれ以上やらない」
「一人でやるから」
 完全に拗ねている。



黒幕 8

 今日は昼から金融屋の事務所に出る。親分はもうここに出てくることはない。親分の席に姉さんが座っていて、私の席は空けたままになっている。
「どうです?」
「人夫出しの方は相変わらずね。不動産管理は1人部長を入れたわ。この前初めてカオルさん指名して抱いた。サエのことよく知ってるみたいね?」
「何か言っていた?」
「仕事を任せてるって」
「少しいい?」
 ドアから記者の顔が覗く。それでそのまま喫茶店に入る。
「野党再編について特集を始めた」
 これについてはカオルから出していい情報だけを聞いている。
「出元は伏せてくださいよ。与党から反主流派のボス以外にもう一つ大きな派閥が出ますよ」
 記者のノートにいくつかの円を書きそこに団体の名前を入れていく。記者は議員の人数を入れていく。
「与野党逆転の流れがありますね?」
 私はあえて返事はしない。
「でも与党のもう一つの派閥は確証がないのでは?あの赤坂の写真にはなかったですね?」
「これはコピーですが信州の与党の派閥のボスの別荘で反主流派のボスが会っています。まさにこの時期にですよ」
 これはカオルが送ってきたものだ。


黒幕 7

 カオルが送った記事が出た日、新聞の1面に総理の退任の発表と主流派の禅譲の名前が出た。だが5人の名前も出て総裁選になるという。もう総理にまとめる力は残っていないということだ。派閥で言うと反主流派のボスが一番大きい。だが予想に反して選挙を繰り返しているうちに決戦で反主流派のボスが敗退。そこまで読んでいたのだろう。記事の通り反主流派が党を脱退した。予想の人数の半分だという。
「社長からです」
 引退したニューハーフから受話器を渡される.。カオルはここでは社長だ。
「長野に来ているの」
「まさかフィクサーに会う?総理に頼まれた?」
「いえ、頭取と会長よ。この日のためにフィクサーのところにラインを作っておいた。私の『白薔薇』の客よ。今回彼も与党から離党して新党を作る」
「カオルも怖いな」
「こういう仕事をするからここまで来れたのよ」
「分かっている。ところで何をしたら?」
「資金を集めてほしいの」
「あの貸金庫を開けるというのか?」
「それはだめ。あれは私達を守るもの。資金は会長が調達してくる。それであの『白薔薇』の裏口座を」
「新党の規模は?」
「おそらく彼が合流すれば5分5分までになるそうよ。会長も頭取も次の厳しい時代を覚悟してのこと」








黒幕 6

 披露宴が終わってからカオルの携帯に掛け直した。サエとユイを先に帰らせてボンと久しぶりに飲んでいる。
「悪かったな」
「いいのよ。会長に頼まれて私設秘書を警察に引き取りに行った。彼の上着に私の記事が入っていたと警察が言うけどこれって」
「会長が監禁の指示を出していた?」
「間に入って解放したのじゃないかな。東京の組がかなり攻めたようで記憶がなくなっている」
「それで?」
「今ホテルに預けて来たところ。会長の監視が付いている。彼を使っていた側からすればどこまでしゃべったのか気になるところよね。こちらから修司の名前で新聞社に第2弾の記事を送った。そちらにもコピーが届くわ」
「内容は?」
「新党結成の情報。主要メンバーの名簿も入っている」
「総理が反撃に出たわけだ」
「いえ形勢は挽回できないそうよ。だから逃げる体制に入ったと会長は言っている」
「分からんな」
 携帯を切るとボンがビールを注いでくれる。
「親父はどうなんだ?」
「認知症が入ってきた。それでしっかりしているときに離婚の話を弁護士としている。今の仕事はどうなんだ?」
「カオルは大した女だよ」







黒幕 5

 会長から貰った野党再編のシナリオを大阪に戻って記者に渡した。実に詳しい内容で、赤坂の料亭に集まった野党の幹部と与党の反主流のボスの写真が添えられている。これが週刊誌に出るのと合わせたように、総理の禅譲の話が出た。週刊誌からはITM事件の記事は消え再編の記事ばかりだ。
 今日は7時から小料理屋貸切で身内だけのやぶ医者のと女将との披露宴がある。私とサエもユイを抱いて参加する。25人ばかりの中でカノンや姉さんやボンの顔もある。サエは子供を抱いているといい母親にしか見えない。
「手は治った?」
 カノンが声をかけてくる。
「あの時は助かったよ」
「奥さん?」
「ああ」 
「可愛い人ね。これじゃもう私の相手はしてくれないね」
「今も?」
「そこの姉さんの兄さんの組長のストリップに出てる」
 姉さんが小声で耳元で囁く。
「兄貴の情婦やってんのよ」
 サエが気が付いたのかカノンに丁寧な挨拶をしている。
 携帯が鳴ってボタンを押す。
「私設秘書が見つかったって」
 カオルの声だ。






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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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