空白 黒鞄 2

黒鞄 2

「中は見ていないよ」
 サエが押し入れから新聞紙に包んだ黒鞄を出してくる。ずいぶん使い込んだ鞄で腹に巻きつけるようになっている。確かに見覚えがある。リヤカーで運ばれる時も無意識にこの黒鞄を抱えていた。ただこの中に何が入っているのかは覚えていない。
「開けて見てよ」
 最初に掴み出したのは封に巻かれた札束が2冊と1万円札が7枚。
「強盗したのか?」
「あなたのかもしれないよ」
 どうもお金だけなようである。
「もう少し調べてみたら」
とサエが鞄の中に手を入れて探る。
「何かある!鍵ね。マンションの部屋の鍵とか?」
「少しサイズが違うようだな」
「免許書とかそんなものが入ってるかと思った」
「取りあえずこの金で借りている金を支払っておくよ」
「だめ!」
 口をとがらせて言う。
「盗んだお金なら返さないといけないし。返されると縁が切れるようで嫌」
「妙なこと言うな」
「初めて自分のものができたのに。10歳から今まで一人ぽっちで寂しかった。こんなこと話させないでよ」
 大きな瞳から涙があふれてくる。








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お返事有難うございます。
これからも読ませていただきます。
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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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