空白 歪める 11
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歪める 11

 カオルは酷く疲れていて風呂に入ったら眠り込んでしまった。私は暗くなってから店の裏の露地から抜け出してサエのもとに帰った。
 翌朝は10日前からの京都駅裏の取引で金融屋のやっさんと購入していた土地の売却を終えた。それで夕方には若頭の待つスナックに直行した。この土地も伊藤絡みの融資が焦げ付いている大口物件だ。
「ご苦労!」
 と若頭の握手を受けてアタッシュケースを3つ並べて札束を見せる。それから若頭が2千万を掴みだしてやっさんの鞄に入れる。それが済んで小頭と5人の男たちが入ってきて引き上げていく。
「まあ、助かった。伊藤の事件がここまで来ていたら塩漬けもあったわな」
 ママがテーブルに大皿の寿司を並べてブランディを入れている。
「ところで検察で『白薔薇』のママのアリバイを証言したんだってな」
「それも分かりますか?」
「色々ラインがあってな」
「怖いんだよ」
 やっさんが大げさに手を広げる。
「それともう一つITMファイナンスの社長を殺したのは名前まではいえねいが、関西のやくざだよ」
「それは?」
「社長は伊藤とは別に関西やくざに資金を流してバックを取っていた。それなのに一律に競売の手続きをされた。悪いことをしていたら最後は腹をくくらなあかん。それはわしらもそうや」
 9時にお開きになってやっさんがタクシーで送ってもらう。彼は持っていた鞄からもう一つ鞄を出して1千万を入れる。
「そんなに」
「これは若頭からやない。わしからや」







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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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