空白 一区切り 8
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一区切り 8

 翌日やはり従業員は誰もボンの店には来ない。新しい板長が急遽仕入れをして入る。フミコが開店からボンと並んでカウンターに入る。小頭が若いものを連れて頻繁に覗く。私も昼は姉さんとボンの店で食べる。
「ゆっくり歩くのでガードのトイレから後ろに付いて来ている奴を見てくれ」
 小声で姉さんに伝える。それからのんびりと通りを抜け路地を曲がる。そこからやぶ医者の裏口に隠れる。今度は姉さんの後ろからゆっくり付いていく。後ろの目隠し帽をかぶった男は慌てて路地に入って走り出す。姉さんの肩を叩いて逆に跡をつける。男は何度か角を曲がりながら事務所にたどり着いている。明らかにイサムと知った追跡だ。
「あれは番頭の背格好よ」
「確かに」
「一緒に付いていくわ」
 公園から今度はどんどんと早足で商店街を抜けていく。
「親分のところだわ」
 病室も心得ているらしく、そのまま親分の個室に入る。30分ほど廊下の隅で待つ。今度はジャンバーのポケットに封筒をねじ込みながら出てくる。
 姉さんが番頭の姿が消えてすぐ飛び込むように部屋に入る。
「また金を貸したんじゃ?」
 親父はばつが悪そうに頭を撫でている。
「近々金が入ると言うので100万都合した」
「まさかボンを脅す気では?」
 姉さんが愚痴をこぼす。あり得ない話ではない。番頭は私にとっては厄病神なのだ。だが彼にとっても厄病神だろう。







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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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