空白 記憶 1
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記憶 1

 暗い穴倉のような部屋だ。どれほどの時間眠っていたのか思い出せない。天井窓が開いて男が二人降りてくる。同時に眩いほどの照明が点く。一人は背の高い肩幅の広い男でもう一人は見るからのしょぼくれている。どうも私は両手両足を縛られているようで感覚がなくなっている。どちらも覚えのない顔だ。
「今日はもう1本折るからな」
 しょぼくれた方が楽しそうにペンチを手にしている。
「まあ、慌てることはない。まず左手を見せてやれ」
 左手の一指し指がグローブのようになっている。パンパンに張れているところに釘を刺す。
「今日は中指だな」
「そのくらいで吐いた方がいいぞ。こいつは楽しみでやっている」
「君らは誰だ?」
「あまりの痛さに記憶をなくしたか?お前は金融屋の部長のイサムや。ふいにやってきてめちゃめちゃにされたんや。最低5本の指は貰うまで吐くなよ」
「待て、貸金庫の鍵は?」
 そうだ。私は貸金庫の鍵を持って逃げてきたのだ。それでガードを越えた道路で跳ねられてた。彼らに捕まったのだろうか。でも死んでもいいと思っていた。私は敬愛する上司の頭取に捨てられたのだ。やはりカオルに手を出したのが不味かった。でも逃がしてくれたのは確かにカオルだ。私を捕まえたのは頭取か伊藤か。
「やりまっせ」
と言うなり中指をペンチで捻る。
「こいつまた記憶失ったんやろうか?」
 その言葉とともに暗闇の中に落ちておく。






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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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