空白 記憶 3
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記憶 3

「お前なあ」
 肩幅の広い男が天上から降りてきて、しょぼくれた男に怒鳴っている。今日も3本目の指を折るのだろうか。男が私の髪を掴んで顔を上げさせる。
「お前の名は?」
 私は首を振る。
「とぼけるな。お前の名はイサムだ。金融屋の部長だ。公園の前のある金融屋だ」
 全く記憶がない。私は銀行員の修司だ。
「組員が言っていたが口がきけなくなっている。やりすぎたんだ。それに組長からも出て行けと言われたんだぞ」
「どうしてや。分け前も出すって話してあるんやろ?」
「組の上の方から何かあったようや」
「そんなら早く吐かそうや」
「そんな余裕ない。晩にホテルに運ぶ。何せ俺の組は預かりで手下も使えない。それに頭取のルートもたたれている。軍資金も底をついてきた。この組も上から睨まれるのを恐れている」
 グローブのように膨れた指を持ち上げて、
「もう1本で落ちるのやがな」
と残念そうに言う。
「取りあえずそこにある蒲団で包んで夜のうちに運ぶ。上に運ぶのは誰も手伝ってくれんからな。ライトバンの運転手は手配した。だが中身を見せられない。ここの組長にも内緒にしている」
「どうして?」
「上からイサムと言う名が出ていて手を出すなと言われている」
「そんな大物じゃないですよ」
「いや、ITM事件の重要参考人だ。それで俺の兄貴もぶち込まれた」
 どうも頭取が始め組んでいた横浜の組と係わりがあるようだ。














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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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