空白 初恋 8
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初恋 8

「泊まっていく?」 「いや、もう帰るよ。使えなくなったかも?」  カオルの引き止めるのを振り切って新幹線に飛び乗る。カオルのセックスはマラソンのようだ。おそらく殴り合いをしたら完全ににノックダウンされる。  席に座ってホームで買った週刊誌を拡げる。ITM事件の証言!と言う見出しで3面記事のような扱いで載っている。 「・・・俺は政治向きのことは分からない。兄貴に頼まれて伊藤を横浜の倉庫に監禁した。彼とは何度か飲んだことがあり安心して車に乗せた。それから睡眠薬を入れたビールを飲ませる。そこから伊藤はITM事件から消えた」  そこまで読んで筆者は横浜の組長の弟と察した。彼は今どこかに逃げてこれを書いている。だが目的は? 「伊藤を捕まえろと言ったのは兄貴だ。今まで伊藤が雇い主だった。それで兄貴に問い返した。一言鞍替えだと言ったきりだ。その頃から組の資金パイプが広がった。指示を持ってくるのは吃驚するほどの美人だ」  カオルのことだ。 「伊藤をどうするか判断は決まらなかった。テープと盗聴器のことを繰り返し拷問しながら体に聞いた。初めは伊藤が隠していると思っていたが、どうも本人も知らないようだった。その指示を持ってきたのはその美人ではなく、眼鏡をかけた銀行員の様な優男だった」  これは私が殺されそうになって後のことだ。その銀行員というのは係長で私の後釜に座った。 「私の仕事はその男の持ってきた手紙の内容通りに彼を殺すことだった。さも伊藤に殺されたように」  この男が係長を殺したのか。今まで伊藤だと思っていた。指示したのは当然頭取ということになる。私を逃がしたカオルをこの時は使わなくなっている。 「この男が死ぬ間際まで彼の知っているITM事件の真相を語った。殺されそうになって逃げた前任の課長がテープと盗聴器を持っていると言っていた。それと内閣の上層部に金を運んでいたのもその課長だと言っていた。そのテープを取った後彼を殺した」  ここまで生々しい事実を書いているが、当事者しか分からない。どうもこの話はまだ続くようだ。私はカオルから渡された携帯で記者を呼び出して粗方の話をして新大阪で会う約束をした。  
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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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