空白 起承転結5
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起承転結5

 二つの記憶が融和するのに時間がかかる。サエ以外はカオルにもしばらく内緒にしている。事故後の記憶が重ならず視点が少しずれて見えるようになっている。あの時はサエしか見えなかった。その気持ちが蘇ってきている。その分朝の愛撫が長くなっている。
「最近サエがキラキラに見える」
 ボンがモーニングの席でぼそっと言う。サエはフミコと子供の話をしている。
「妙な男がサエの写真を見せて店で居場所を尋ねてきたんだ」
「妙な男?」
「昔も訪ねて来た記憶がある。あの時は白塗りの人形のような写真だったが、今回は彼女の写った雑誌だ」
「サエは?」
「追っかけだと思っている。人気だからなあ」
「どんな男だった?」
「昔に比べてげっそりと痩せていた。西成のアパートにいるとメモを残して行った。こういうのはすぐに捨てるんだけど」
 それはどうもサエの言っていた親父かもしれない。
 今日は半月ぶりに姉さんの事務所に行く日だ。
「そのメモのところに訪ねてみる」
「気をつけろや」
「しばらくサエに内緒だぞ」
 メモをポケットに押し込むと、ユイを背負って店までサエを送る。店の前にはもうマニアらしき人物が並んでいる。
「なんだか紐みたいに見えるな」





 
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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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