空白 起承転結6
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起承転結6

 これは他の人間の力を借りれない。サエが男だということを知られてしまう恐れがある。陽が暮れる前に日払いのホテルについた。玄関に眠っているような老人に声をかける。
「人を探してると?」
 同時にメモを目の前に出した。薄目が開いて隣の暖簾を指差す。
「黒の帽子を被ったのがいるそいつや」 
 暖簾を潜ると席はまだらで一応にみんなこちらを見る。この街に住んでいるがこの辺りにはめったに来ない。一番後ろで髪の長い女と話している男が黒の帽子を被っている。私はメモをちらつかせる。
「お前はあっちへ行け!」
 女が振り向いたが明らかにお釜だ。男は痩せこけてはいたが掘りが深く昔はいい男だったと知れる。
「雑誌の女いたか?」
「あの女と違う」
と言ってポケットから初めて会った頃のショートカットの幼いサエの写真を見せる。明らかに目が反応している。
「どこにいる?」
「ミナミで働いている。やくざの旦那がいるが?」
「金は出す。会わせてくれ。俺は彼奴の親父だ」
「母親は?」
「別れたままだ」
「それで今更どうして?」
「俺の命は長くない。シャブ漬けだ」 
「会って謝るのか?」
「もう一度入れたいんや彼奴の中に」
 むかついてくるのを堪えながら、
「一度会いたいか聞いてみる」










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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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