空白 起承転結10

起承転結10

 久しぶりに副頭取室に入った。名刺は会長の秘書だ。
 椅子から立ち上がって握手をする。それから備え付けのソファーに掛ける。ここには身近なものしか入れない。彼は昔から熱烈な頭取の腹心だった。ある時からまだ課長に過ぎない私にすらライバル心を抱いていた。彼は表で私が裏だった。
「例の赤坂の土地を動かそうとしています」
 私は鞄から赤坂の住宅地図を広げる。懐かしい色とりどりに塗られた古びた地図だ。この地図は頭取に渡されて再調査をしたのだ。どうも頭取はITM事件が起こらなかったらこれに手を付ける気でいた。
「この赤い部分を担保にこの会社に融資してください」
「これは『白薔薇』のママの会社だな?だが無借金とは凄い」
「ママは金を産むのは旨いですから」
「元頭取もいるわけだな?」
「この部分は全体から言うとへた地ですので将来は売却します。時価総額で224億なので単名で200億頼みます」
「初めから大きいな?」
「これからもっと大きな融資をお願いすることになりますよ。この資金はこの黄色の部分に投資します。ここが地上げの未消化部分です。頭取の道が見えてきますよ」
「頭取の道か」
 彼が相談役と新頭取の生え抜きの家系に打ち勝つためには会長のバックが絶対条件だ。彼自身元頭取のように資金源を作る能力はない。頭取を獲得するにはITM事件の様な山がいる。
「一度『白薔薇』のママをセットしてくれないか?伝説のママだからねえ」
「新宿の店に来るのですか?」
「お忍びでな」
「深入りしないように」







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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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