空白 空白1
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空白1

 あれから17年が矢のように過ぎた。私も50歳を迎える。サエの店も阿倍野ののっぽビルに入った。本社は相変わらずそのままのところに置いている。サエも私の妻となって籍に入り、娘のユイもサエのことを聞いて少し反抗期があったが、今日も仲良く買い物に出かけている。私は年齢相応に年老いた良きサラリーマンの顔になっている。
 サエは一向に年齢を感じさせず、いまだ周辺の誰も男とは思わない。久しぶりにボンの店でビールを飲んでいる。ボンは髭を蓄えて私より年上に見える貫禄だ。5人の子供を作ってさらに6人目が出来るという。
「最近はサエとはやらないのか?」
 小さな声で言う。
「ユイに見られてからはサエに拒まれている」
 ボンとは正直な話ができる。ボンの妻のフミコは未だにサエが男だと知らない。私に会うとなぜ二人目を作らないと言い続ける。ボンはやりすぎて玉がなくなったと冗談を言う。確かにやりすぎたのだと思う。
「ほらここにいた!」
 いつの間にかユイが腕を組んでいる。サエが後ろで控えめに笑っている。
 ボンが黙ってビールとサイダーを抜く。
「ユイちゃん彼氏出来た?」
 フミコが奥から声をかける。
「私も男に生まれたかった」
 これがユイのいつもの帰し文句になっている。サエが困った顔で笑う。今でも時々ユイがサエの布団に潜りこむ。私はそれを見ていて妬ける。
「あれ!」
 サエの声でテレビの画面を見る。




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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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