空白 空白3
FC2ブログ

空白3

「この小料理屋は5年ぶりだなあ」
 記者が編集長になった時ここでお祝いをした。
「貫禄がついたよ」
「いや腹が出ただけだ。それより『白薔薇』のママ調べてみたよ」
 女将と一緒にやぶ医者も今はカウンターに入って魚を焼いている。だからサエはホルモン注射は自分で打ってる。サエとはもう2年交渉がない。今ややぶ医者もサエを女と思っている。
「彼女はしばらく香港にいたそうだ。『白薔薇』の7号店を香港に出している。ここはまでも開いていてその当時の写真が雑誌に出ている」
 これはサエが作ったドレスだ。
「3年後『白薔薇』の8号店をラスベガスで出した。これはアメリカの新聞の記事だ」
 編集長にとってもはやカオルは恋人だ。
「会社を調べてみたが彼女は今も社長だよ。君の名前も役員に残っている」
 役員に入った記憶もない。入っているなら頭取か総理だろうが、二人とも相次いで亡くなっている。もう赤坂のことを知っている人間もいない。写真を見てカオルの横に立っている老人を見た。
「どうした?」
「いや」
 あのマネージャーがずっと一緒だったのだ。
「もう日本のことは忘れただろうか?」
 カオルにとって日本で起こったことは空白なのかもしれない。




スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

FC2USER015477MKZ

Author:FC2USER015477MKZ
学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

FC2USER015477MKZ

Author:FC2USER015477MKZ
学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR