空白  背中が見える 8
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背中が見える 8

 相変わらず年の瀬が迫ってきてサエは更に忙しくなって御前様になることが多くなった。事務所に記者から連絡が入って仕事帰りに一緒にやぶ医者と会った店に行くことにした。
 女将が顔を覚えてくれていてカウンターの端に席を作ってもらった。
「面白いことが分かりましたよ」
 彼は手帳を見ながら取り寄せたらしい集合写真のコピーを見せる。
「彼の所属は本店総務部2課長、4か月前から新任課長になっている。もともと同課の古参の主任だった。この課は頭取直属の仕事を担当している」
「秘書課?」
「いや秘書課は別にある。今の頭取になって作られたようだ。内部の話では何をしているのか分からないかだそうだ。頭取室の横にあり専用の応接の接客も担当ているようだ。もう一度写真を見てくれ」
「これは私か?」
「そうだ。君が初代2課長だよ。その後ろに立っているのが自殺した課長だ。初めはまさかと思ったよ」
 私が彼にビールを注ぐ。
「本社の記者はこれは自殺じゃないと言っている。現場の刑事の話では彼は3日前から無断欠勤をしていたというのだ。その3日の居場所が不明なのに本庁から自殺として発表された」
「新聞では夜間に車にはねられたと?」
「それもそちらの手口に似すぎている」
「これは大きな事件に糸口になるような予感がする。しばらく内緒にしてくれ」
 私がぼんやりと見た先にやぶ医者に視線が合った。






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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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