空白 

衝突1

 野党内閣の陣容がまだ固まらないようだ。これはどうも反主流派ボスが派閥固めをしているという噂が流れている。それについてカオルからどうも反主流派ボスにファイクサーから新しい資金が流れていると言っている。ここで総理に反主流派ボスかその派閥から出す可能性があるという。今は資金が勝負を決める。
 そんな最中マネージャーから携帯が入った。
「至急に東京に来てください。昨夜からママが行方不明なのです」
「直近まで何をしていたのですか?」
「会長の用事で野党の党首の秘書に会いに行っていたはずです」
 その足で東京に飛び立った。空港で探偵を呼び出して足取り調査をしてもらう。
 空港に着くとマネージャーと探偵が迎えに来てくれる。
「秘書は夜の9時まで料亭で一緒だったと言っている。その後彼女の携帯でちいママに10時には店に入ると連絡があった。そこから消息が消えている」
「ちいママの話では最近店に新顔がよく来ていると言っているわ」
「今防犯カメラを見てもらっている」
「総理争いか?」
「でも党首が総理になるのでは?」
「反主流派ボスが最大派閥だ。金を封じていたから後ろに下がっていたが」
「長野のファイクサーが東京に出てきているということだ」
「厄介なことにならなければいいが」




起承転結13

 カオルが持ってきた地上げの資料全体をここ5日間丹念に見る。昔の買値が半分まで落ちている。だが交渉が行き当たりばったりで行われている。さっそく赤坂の現場責任者に地上げ順位の確認のメールを入れた。このままでは融資枠の200憶では収まらない。カオルはあれから大阪から東京に飛んだ。どうも会長とパイプは相当太い。
 3時過ぎにカオルの事務所を出て阿倍野の新店舗のリホーム状況を見に行く。
「サエ着てたのか?」
 サエがジーパンに作業着を着て職人に細かい指示をしている。
「5時から研修生も入ってみんなで展示をするの」
「手伝うよ」
「カオルさんからもうお祝いの花束が届いているの。まだ大阪に?」
「いや、もう東京に飛んだ。エッチをする暇もない」
「恥ずかしい」
 5時になると3人がユイを連れて集まってきた。どういうわけか姉さんが商品をトラックに積んで運んでくる。今回は壁に大型のテレビをつけて女装の録画を流すようにする。だが今はテレビを流している。衆院の結果を見るためだ。早くも野党連合の当確が続出している。会長の大逆転が起こるのか。
「入居祝いは私が持つからね」
 姉さんが寿司とビールを運び込んできてサエと腕を組んでいる。
 テレビの画面に野党の頼りない党首の顔が映し出されている。なんとその真後ろにカオルがいる。サエも見つけたようでビールの入ったグラスを軽く上げている。
「カオルさんはイサムの力を求めている。私は横にいるだけで幸せよ」












起承転結12

 カオルの事務所でパソコンでサエの店舗を阿倍野の表通りで探している。そのうちに今回金融を引き上げって姉さんが買ったビルを見つけた。ここは大規模な地上げ物件が真後ろまで迫っている。
「このビルに空き部屋はない?」
「そうね。今月末なら2階に空きが出るわ。1階が半地下になっているので店舗にはいいわ。誰か店を出すの?」
「サエが今のところを仕事場にして店舗を出すと言っている」
「ここなら路地で仕事場と繋がる。条件のメール送るわ」
 姉さんもしっかりと不動産屋になっている。
「しっかり亭主やってるな?」
 いつの間にか札幌から大阪に戻ってきたカオルだ。即座に鞄を広げって地図を出す。
「融資が出たわ。それでこの黄色い部分を固まった3か所買うの。現場はチームが出来ている。修司に取りまとめしてほしい」
「地上げもやるのか?」
「それで土地と建物代を貰う約束を会長としたの」
「大した女だ」
「サエは修司の女房だけど私はパートナーよ。失敗したら穴に大きなのぶち込んでやるから」
 事務員がくすくす笑っている。
「衆院の選挙だがどうなんだ?」
「6分4分で野党連合のようよ」
「あの頼りないのが総理か」







起承転結11

 カオルに泊まるのをせがまれたが、どうしてかサエに会いたくなって新幹線に乗った。新大阪からタクシーに乗ってサエの店に乗りつける。「少し遅くなるが夕食を食べよう」と連絡を入れた。
 8時過ぎに店の前につく。まだ1階も2階も赤々と光が灯っている。ちょうど2階のカーテンが引かれドアを開けるとサエがユイをベビーカーに乗せて立っている。
「遅くなったな」
「いつももっと遅いから。ユイはもう済ませて眠っている。時々寄る店でもいい?」
 サエが路地に入って小さな店に寄る。
「この壁の商品は?」
「ここで展示してもらっているの」
 奥のテーブルに店の従業員がいつの間にか2人座っている。
「隣に来てもらったら?支払いは持つよ」
「いいの?一度主人に会わせてと言われてたの」
 サエが嬉しそうだ。
「社長いつもイサムさんの噂ばっかりなんですよ」
 古い馴染の子が話す。
「こちらはカオルさんの店にいた子よ」
「向こうでは指名のかからないナンバーワンでした。ここに来て幸せです」
「私もイサムさんのような彼氏が欲しい」
 二人ともニューハーフだ。でも普通の女の子のように見える。
「もう一人研修生で入ってもらう予定なの」
「それじゃ今のところじゃ狭いだろ?」
「店はそのまま仕事場にして売り場を表通りにと考えてる」
「それはこちらで探そう」










起承転結10

 久しぶりに副頭取室に入った。名刺は会長の秘書だ。
 椅子から立ち上がって握手をする。それから備え付けのソファーに掛ける。ここには身近なものしか入れない。彼は昔から熱烈な頭取の腹心だった。ある時からまだ課長に過ぎない私にすらライバル心を抱いていた。彼は表で私が裏だった。
「例の赤坂の土地を動かそうとしています」
 私は鞄から赤坂の住宅地図を広げる。懐かしい色とりどりに塗られた古びた地図だ。この地図は頭取に渡されて再調査をしたのだ。どうも頭取はITM事件が起こらなかったらこれに手を付ける気でいた。
「この赤い部分を担保にこの会社に融資してください」
「これは『白薔薇』のママの会社だな?だが無借金とは凄い」
「ママは金を産むのは旨いですから」
「元頭取もいるわけだな?」
「この部分は全体から言うとへた地ですので将来は売却します。時価総額で224億なので単名で200億頼みます」
「初めから大きいな?」
「これからもっと大きな融資をお願いすることになりますよ。この資金はこの黄色の部分に投資します。ここが地上げの未消化部分です。頭取の道が見えてきますよ」
「頭取の道か」
 彼が相談役と新頭取の生え抜きの家系に打ち勝つためには会長のバックが絶対条件だ。彼自身元頭取のように資金源を作る能力はない。頭取を獲得するにはITM事件の様な山がいる。
「一度『白薔薇』のママをセットしてくれないか?伝説のママだからねえ」
「新宿の店に来るのですか?」
「お忍びでな」
「深入りしないように」







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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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