空白 

真相 6

 小料理屋で記者と待ち合わせすることにした。やはり今日も定位置でやぶ医者が飲んでいる。私は早めに番頭の店を覗いてくると事務所を出た。
「いや前は手柄頂きましたよ」
「どうですか反響は?」
「局長賞ですよ。でも検察に呼ばれてニュースソースを出せと」
と言いながらにこやかにビールを注いでくれる。
「これもオフレコにしてください。実はあれは『白薔薇』のママから渡されたものです」
「まさか?どうして不利な情報を出すのですか?」
「私には記憶がないので分かりませんが、ママが言うのには伊藤が地下に潜って動いていると言うのです。一時あの写真のように3人で密会していたようです。それが社長が暴露する側に回ったので。ママも伊藤に脅されているようでした」
「それなら分かりますがでも話だけでは記事にできません」
「私も居場所がばれたので安心できないのです」
 今度は私が記者にビールを注ぐ。
「私を極秘に地検に会わせてください。記憶喪失と言うのも伝えなければと思うのです。その上で答えられるものは答えます。もちろん今まで内緒にしてきたのはそちらの記事に」
 彼の顔が急に晴れやかになる。
「これから社に戻って対策を立てます。詳しい流れは明日電話します」
と言うなり金を払うのも忘れて飛び出した。








真相 5

 新聞にITNファイナンスの社長が告発を取り下げ、頭取が背任を取り下げた記事が出ている。これは誰かが間に入ったことだと記事は書いている。それをこの記事は『白薔薇』のママが絡んでいると書いている。社長が『白薔薇』のママと会ったのも確認しているとある。カオルはわざと自分に目を引き付けているようだ。
 親分を車に乗せて姉さんが警察から戻ってきた。
「どうだった?」
「さんざんよ。番頭の身元引受の話をしたら、執行猶予にはならないと言われたわ」
「ノミ行為ではなかった?」
「あの店で麻薬を売ってたようなの。関東系の組が絡んでいるらしいわ。でも親分はなぜあそこまで庇うの?」
「親分は?」
「また足に激痛が走って病院に運んだわ」
 そのとき電話が鳴って姉さんが取る。
「またあの女よ」
と投げ出すように受話器を差し出す。
「あのサングラスのやくざの男が指名手配された。頭取が慌てているわ」
「何の件で?」
「後釜の第2総務課長を殺した殺人罪で。ホテルの防犯カメラに映っていたようよ」
「不味いな」
「それで例の出頭を早めてほしいの。例の録音と写真は私から渡されたと言って」
「それは不味いよ」







真相 4

 週刊誌をボンに届けてもらった。やはり約束通りあの記者のペンネームで特報!として新証拠が載せられた。いよいよ私もいつまでも隠れているわけにはいかない。記憶喪失として解らないと答える部分と、それでも答えられる部分をどうするかだ。
「女の人からよ。浮気したら許さないからね」
と姉さんが受話器を渡す。
「私よ。ありがとう効き目があった。告発を取り下げる代わりに頭取も背任罪は降ろすと言うことになった。ビデオは出さなくてすんだわ。さすが赤恥だものね。社長のものを銜えているものね」
「ほっとしたよ」
「でも検察は下がらないようよ。今日はITMファイナンスの本社の家宅捜査に入っている。今週中に『白薔薇』にも入ると弁護士が連絡してきたので、カメラやらはすべて外した。修司のものもすべて別のところに移した」
「でもいつまでも隠れている訳にはいかないと思っている」
「頭取はもう少し時間を引っ張ってほしいと言っている。私としては警察の手が回るまでで、あの記者を導火線として検察と交渉できたらと思う。私とは敵で伊藤が拉致監禁されて殺害されそうになって失踪」
「それでいいのか?」
「私は恥を掻こうがどうでもいい。頭取と修司が身を守るそこにポイントを置いたらいいと思う。でも流れをもう少しじっくり見て。頭取は総理の話が出てくることを一番恐れているのよ。私も総理と寝ただけで修司が二人の情報を掴んでいる。それが残っていると言うことをぼんやり描かせる。強くても弱くてもだめ」

真相 3

 翌朝サエがカオルの伝言を届けてくれた。それでさっそく記者に会うために新聞社の近くの喫茶店で待ち合わせする。最近は貸付の決裁以外は自由に任されている。先日は若頭の道頓堀の案件も実行している。
「忙しいところ呼び出して」
「いえいえ、こちらも確認したいことがあったので」
 記者はいつもより張り切っているように見える。
「実はニュースソースを伏せてこれを記事に載せてほしいのです」
 封筒を渡すとスナップ写真を見て凍り付いている。
「記憶は戻ったのですか?」
「いえ、顔見知りに会ったのです。もちろん中身は知らない話です」
「聞かせてみらっても?」
 小型のカセットに差し込んで30分ほど黙って聞いている。
「これは社長と伊藤と『白薔薇』のママが組んでいた証になりますよ。私に預けてもいいのですか?」
「ええ。その人がこれはあなたが表に出る道筋になると言ってました」
「これは私に推理ですが、社長と伊藤と『白薔薇』のママは一時組んでいたのではないかと。それで頭取の手足だったあなたが何らかの事件に巻き込まれた?」
「憶えていません」
 彼は携帯を取るとキャップを呼び出して5分ほど話す。
「明日発売に載せますよ」
 どうやらカオルは社長と話がまとまらなかったようだ。










真相 2

「ITMファイナンスの社長が反撃してきたようだね?」
 今日もマネージャーが車で迎えに来て、ほん10分のホテルに20分もかけて大回りして案内した。ベットにすでに全裸のカオルが入っている。
「ええ、ここは2時間で切り上げて社長に会う。まず抜いてそうしないと冷静に交渉できない」
 すでにカオルのものは反り立っている。いつもの2時間の作業を半分に短縮する。でもカオルは私の口の中とアナルで2回出してもまだ反り返っている。
「ごめんね。修司は出せなかったね。まずこれを見て」
 ハンドバックから膨らんだ封筒を出してくる。中からスナップ写真と盗聴テープが出てくる。
「これは伊藤とカオルともう一人は?」
「ITMファイナンスの社長。伊藤と頭取がギクシャクし始めた頃。その頃伊藤は修司を抱きこもうとしていただけじゃなく、社長とも内密の話をしていた。この日は東京に来ていて私を社長に抱かせた。妬ける?」
「いや。それは君の仕事だ」
「この時伊藤が私に大阪の店をプレゼントする話を持ち出した。その話が入っている。ビデオもある。でもビデオは最後の切り札」
「やっている奴か?」
「これは出来たら出したくないけどね。でも社長はいくら舐めても大きくならなかった」
「それで」
「これを私が連絡を入れたらあの記者に私のことは伏せて渡してほしいの」
「頭取は?」
「了解済よ。今の頭取は危険よ」





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学生時代に書きためたノートの埃を払って万年筆の文字を打ち直し始めた2作目です。この作品は未完で今回はなんとしても完成したいです。

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